戻る <<戻る | 進む>>
第17話 T90 投稿日: 2008/05/14(水) 00:24:13 ID:XT4OC/Hc
『クレイジークライマー』

「よくぞ帰った我が息子よ!」
チューゴパパは大げさに両手を広げ、遠大な買い物(笑)から中華マンションへ戻った我が子を迎えました。
「た、ただ今帰りますたでアル……」
一方のチューゴ君はハトにツツかれたり糞をひっっかけられたりでボロボロ、ほうほうの体でようやく帰り着いたのでありました。
とりあえずシャワーで汚れを落として、キンキンに冷えたビー……ルではなくウーロン茶か何かでキュッと一息入れたい所です。
が、あろう事か、父は情け容赦なく更に我が子に試練を与えるのでした。
「さぁ、では次ネ!」
「……は?次!? まだ何かアルのですか父上!?」
無慈悲なチューゴパパは、やつれ汚れててボロ雑巾のような我が子を顧みる事なく、ズルズル引き摺って外に連れ出します。着いたのは中華マンションの西壁、そこでは屋上からロープが垂らされており、何人かのスタッフがロープを引っ張ったりして安全確認をしています。
「さぁ、この中華マンションの外壁を屋上までよじ登り、ポールに我が家の家紋の旗を掲げるのだ!」
「登るって、何故こんな所を!? 意味が判らないアルよ! それに聞いてないアル、もう買い物はおしまいじゃなかったアルか!?」
「ふっふっふ。チューゴよ、敵を騙すにはまず味方から、と言うではないアルか。」
なんかチューゴパパは目はすっかり逝っちゃってます。
「この絶壁を制覇し、チューゴ家の屈強さを地球町に知らしめるのでアル!」
流石にチューゴ君も地べたへへたり込んでしまいました。肉体疲労もさることながら、この父親の無駄に暑苦しい気迫にはゲンナリさせられます。
「もうダメ…これ以上動けないアルよ…」
「大丈夫、お前は登るフリをすればいい。上から命綱で引っ張り上げてやるから。」
と、チューゴパパは耳打ちします。
それじゃ意味ないアル、とはチューゴ君も言えません。これが最後の慈悲、地獄に垂らされた蜘蛛の糸のような物ですから。

「では行け、いや、『征け!』 チューゴよ!」
「おー…」
気の無い返事で応えるチューゴ君。一応、登るフリはきちんとします。上からぐいぐい引っ張ってくれるお陰で、あまり力を使わずに、壁をよじ登っているように見せられます。
チューゴ君が登り始めて少し経ってから雲行きが怪しくなり、ゴロゴロと遠雷が聞こえてきました。
「近い…大丈夫アルかな…」
チューゴ君の心配を他所に、屋上のスタッフ達はせっせと命綱を引き上げ、快調にチューゴ君を上に登らせます。まるで空挺部隊かスパイダーマンのようです。
ふと下を見ると、このエセ即席ロッククライミングを見守っているのはチューゴ家の従業員ばかりです。他の家の者はあまり居ません。
『朕だけじゃなく敵まで騙し過ぎアル。他の家の者にも気付かれなかったら、デモンストレーションにならないアルよ』
父親の計略の当て外れ振りに更に脱力してしまったその時、何かがバラバラと頭に当たりました。
「イタっ、何だ、雹か?…まったくこんな時に…ぃいてイテイテイテテテ!」
最初は小粒だったのが、すぐに大粒の氷の塊がマシンガンのようなドカドカとチューゴ君の全身に降り注ぎます。
「これは一体何の罰ゲームアルかー!?」
そこに、ゴツっと凄い音と衝撃がチューゴ君を襲います。特大のアラレが激突したようです。そして衝突の勢いで宙吊りになったチューゴ君を振り子のように揺らします。
しかし、幸い体に痛みはありません(ぽこぽこ振ってくる雹を除く)。胸もとの辺りに冷たい飛沫が散っており、おそらくハーネスに衝突したのでしょう。
「やれやれ、お陰で命拾い…アイヤーーー!?」
よく見ると、命綱とチューゴ君の体を固定するハーネスの金具が変な方向にひん曲がっており、今にも外れそうです。
ハーネスが壊れたらチューゴ君は地面へまっ逆さまです。こんな事なら、さっきの特大アラレはチューゴ君の石頭にでもぶつかって、デカいタンコブでもこさえていた方がマシでした。
この有様では屋上に登る所ではありません。
「おい! ロープを緩めろ!朕を下に降ろすアル!!」
しかし、ロープはびくともしません。降りも登りもしないまま、チューゴ君を宙にぶら下げたままです。屋上にスタンバっていたスタッフ達はさっさと逃げてしまったのでしょうか。
「薄情モノ〜!!」


地上のスタッフも、降り注ぐ雹からの逃れようと次々に持ち場を放棄していきます。
「ま、待たんか!! レスキュー隊は呼んだか!?まだ来ないアルか!?」
チューゴパパは慌てて、スタッフの一人の首根っこを捕まえて詰問します。もしこの中華マンション西壁アタックを始める最初からレスキュー隊を待機させていれば、すぐに救助に行けたのですが。緘口令を敷いていた所為で、ついさっきまでチューゴ家の一部の者しかこの事を知らなかったのです。
消防へは通報はしましたが、残念ながらレスキューはまだです。
もたもたしているうちに、ハーネスはどんどんひしゃげていきます。

「だ、誰かーー!!」

チューゴ君の運命やいかに。
(-人-)ナム

解説 T90 投稿日: 2008/05/14(水) 00:28:45 ID:XT4OC/Hc
●解説
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/korea/1195618710/166-169 の続きで、チューゴ君受難の巻、と。

当初は下のソースでSSを書こうとしてましたが、いじりすぎて実質ソース無し状態なので保管スレへ。orz

http://special.reuters.co.jp/contents/tibet_article.html?storyID=2008-05-05T154955Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-316463-1.xml
チョモランマで降雪、北京五輪の聖火の登頂が一段と不透明に
>>北京五輪の聖火のチョモランマ登頂は、降雪のため実現が不確実になった。……略……
>>主催者は世界各地で行われた聖火リレーで発生したような妨害行為を警戒しており、
>>登頂計画の詳細をメディアに公表していない。
________________________________________
この作品は、次のクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
表示-非営利 2.1 日本(http://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.1/jp/)
このライセンスで定めた条件を満たせば、作者へ断りを入れなくとも、この作品の転載や、二次的著作物の作成が出来ます。

この作品の評価を投票この作品の評価   結果   その他の結果 Petit Poll SE ダウンロード
  コメント: